かね綱は、素材にとことんこだわり、
カニ本来の味を楽しんでいただくことを常に心がけています。
お客様に最高の味を堪能いただくために、
調理方法も工夫を凝らし、日々努力いたしております。
これからも、おいしさを進化させながら
「かに料理」を極めていくことが「かに料理かね綱」の仕事です。
かね綱の歩み
お客様商売との出会い
私がお客様商売を初めて経験したのは、今から30年ほど前。
大学を卒業し、念願の大手自動車ディーラーに入社した最初の年でした。
入社して分かったことですが、初年度の1年間は研修のため、すべての新入社員を営業(車のセールス)に配属したのです。
私はサービスで入社していますので、これが大変嫌で「なんで気泡もしてない好きでもない仕事を1年間もしなくてはならないのか」と入社した事を後悔する日々でした。こんな気持ちで仕事をしていますので当然、車など売れるはずもなく、上司からは来る日も来る日も叱られ続け、叱られるのが仕事のような日々を送っておりました。
そんな1年間の研修も残すところあと2ヶ月ほどとなったある日、お客様からお菓子の差し入れを頂いたのです。
そのお客様はお車のクレーム修理で何度かお伺いした方でした。
わたしに「とても良くしてもらったから」と言われお菓子を置いて行かれたそうです。
私からすれば特別何かサービスをしたわけでも無く、仕事の中ですべきことをしたくらいにしか思っていませんでした。
先輩のように気の利いた会話も出来ず、車の知識もそこまであるわけでもない新人なので、唯々お客様の立場に立って誠意をもって一生懸命対応するしかなかったのです。
その結果、技術も何もない新人の私にここまで喜んで差し入れまでしてくださるお客様やこの仕事に、お客様商売のやりがいや楽しさのようなものを感じ始めたのです。これは私が仕事を通じてはじめてお客さまとのきずなが誕生した瞬間でした。
飲食業との出会い
この事があってからお客様商売を意識して興味を持ち始めるようになり仕事も少しづつ楽しくなってきました。
そんなある日、家族で天ぷら専門店に行く機会がありました。
そのお店の料理や仲人さんの接客がとても素晴らしく感動すら覚えたのです。
食事をするという、普段の何気ない行動の中でこんなに楽しく幸せな気持ちにしてくれる飲食業って「すごい」、こんな世界で仕事をしてみたいと強く思うようになりました。そこで、食べる事ならやっぱり大阪(とても安易)、ということでちょうど友人の紹介もあり、あのかに料理専門店「かに道楽」の門をたたくことになり大阪行きを決めたのです。
この会社には私が40歳になるまでの17年間お世話になりました。
その内の10年は店舗責任者として店舗経営にも携わらせていただいたのです。
何も知らない飲食業の世界を一から学ばさせて頂いた経験がなければ、当然かに料理かね綱の存在もあり得ません。
社長をはじめ当時の上司、同僚、部下の方々には今でも大変感謝しております。
退社して18年が経ちますが、今もって良い関係を続けさせていただいておりますのも人と人とのきずなを大切にされる会社だからだと思います。
独立開業
40歳で独立開業売ることを決め、家族と共に広島に帰ってきました。
まずはどんなお店をどこに創るか、です。
お客様商売のやりがいや楽しさを初めて感じた時や、飲食業に携わった時にいつも意識して育んだのも絆でした。
お店とお客様の絆、家族の絆、会社の仲間との絆、友人との絆、恋人同士の絆。
そんな人と人との絆を育んでいけるようなお店づくりにしようと考えました。
近代的でおしゃれな店舗よりも人」のぬくもりが感じられる古民家を改装して店舗にしたい、個室ひとつひとつもできるだけ広く取りたいと考え今のような作りになりました。
立地は交通量の多いメイン通り沿いは避けて、あえて郊外の静かな落ち着ける場所を探しました。
江戸時代から続く酒造りの町西城にその古民家はありました。
私はこの地に大いなる伝統と文化を感じ、「開業するならここだ」と決めたのです。
業態を決めるにあたり、私は一番にかにの持つ魅力を皆様に伝えたいと思いました。かにといえば川にいるかにしか知らなかった私が、かに道楽でカニ料理のバリエーションの多さにまず驚き、かにの持つ本来の味を上手に引き出しながらアレンジを加えていくことが出来るかに料理が忘れられませんでした。
この味を一人でも多くの人に知ってもらいたいと考え、かに料理の伝道師になればとかに専門店にしました。かにが持つ本来甘味や旨味は、かにのおつくりを召し上がっていただければ、当店の激戦された素材選びはご理解いただけると思います。
お店創り、これから
おかげさまで、かに料理かね綱は今年創業17周年を迎えました。
文明は驚くほどのっ速さで進化し、人と直に接したり会話などしなくても買い物や食事が出来たりする時代です。
昨今、人間らしい繋がりや絆がどんどん薄れてきているように感じます。
こんな時代だからこそ人と人との絆をもっともっと育んでいけるお店創りに今後も精進して参ります。
店主 兼綱尚徳